復帰

小生、胃腸風邪という人類最大にして最悪の大病悪病を見事完治して見せた。いや、実を言うて昨日までで頭痛や腹痛や腰の痛みや頭の悪さやニキビや便秘や深づめなどは概ねすべて治ってはいたのだが、大事をとって1日は休みを取ったのである。小生は自らの躰が最も大切であり、大事である。

さて、1日休んでからの学校というのは、小生初めての経験であった。小学生の頃から小生は病気とはまるで無縁の生活を続けており、友達に休んでいた日の分のノートを写させてもらったり、お前なんで休んでたんだよー!などという経験はなかったのである。この度は小生にとっていい体験になるのかと思い、今朝は少しばかりワクワクしていた。だがしかし、そうは問屋は卸さない。小生、意気揚々と学校へと向かったものの、先述したことは何1つ起こらなかった。まるで休んでいた事実なぞなかったかのように、それすら通り過ぎて小生の存在なぞなかったかのように、皆は振る舞うのである。小生は背筋が凍った。小生のことを皆は記憶から抹消しているようであった。小生が1日休んだことをいいことに、いい機会とし、小生を亡き者にしようとしたのだ。小生は教室を出た。それはもう勢いよく。小生は走った。廊下を走ると先生の怒られたので早歩きにした。そのあと靴を履いて地面に立ってからは、しっかりと走った。ちなみに自分の足ではなく自転車で、である。小生は泣いた。涙を横目に自転車を猛スピードで漕いだ。やがて涙も枯れ果て、血の涙と汗が迸った。小生の躰は真っ赤に染まった。やがて血液も尽きると、小生は自転車から転げ落ち、そのまま躰が重力に従い頽れていった。躰から水分を出しきり蒸発させた小生の躰は、やがて塵となって風に吹かれていった。その塵は冬の冷たい風に乗りに乗り、外国にまで飛んでいき、不毛の土地や砂漠に舞い降り、肥沃な土地を生み出した。それにより世界中の貧しい人間全員に食料が配給され、平等は訪れた。かくして、世界は救われた。